くさびになる夜
あぐり

頼みもしないのに
勝手に海がおちてきた
視界を珊瑚の乾ききった死骸が舞う
粉塵に咳き込みはしないか。
勝手におちてきた海にいる
暗く冷たいそのなかで
ぼうっと浮かび上がるわたしの肉体
ぬくもりは、(あるのか)

くるぶしをかすめていくかたまりをどうか、
きみだと信じてよいと発せよ。

わたしはいまから
きみのくさびになる





自由詩 くさびになる夜 Copyright あぐり 2010-07-25 03:37:45
notebook Home 戻る  過去 未来