—水面— むかしを思い出してるようじゃ、だめなんだなぁ
蒼木りん

ある
大きな湖で
夏の夜
泳げたらいいなと
思っているんだけれど

いろいろ
いろいろ
その水につかって
溶け出さないかなって

海じゃ
だめなんだ
あの湖じゃなくちゃ
あんまり遠すぎて

泣いてしまうよ


湖畔にて
戯れたる 夏の夜の
打ち上げ花火
波の泡に似て


だからなんだってのさ

そんなことじゃなくて
何もかも置いていって
あそこまで歩いていったら
何日かかるだろう

倒れたり死んだり
犯罪に巻き込まれないで
風呂にも入らず
ボロボロになるかもしれないけど

たどり着いたら
あの湖は
私を受け入れてくれるだろうか
ひとりで水につかって

通報されないかな


暗い空
怪しく光る 水面下
今も眠る
数万の魂


送り盆はやめておいたほうがよいな





自由詩 —水面— むかしを思い出してるようじゃ、だめなんだなぁ Copyright 蒼木りん 2010-07-17 11:26:05
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