残夢2010
大村 浩一

産まれ生き苦しみそして死んでゆく
 たった一行闘病短歌

日赤の病棟入り口掲示板
 嘆歌とあって朝顔も書く

これからは口語短歌の詩人です
 出来損ないの痛みを堪え

銀色に輝け外科の中庭の
 リハビリ用の純粋階段

くるしみを並べるうたはもうやめだ
 君の前では恥でしかない

ここからは我の屍を越えてゆけ
 街道上の怪物が問う     ※


      ※「街道上の怪物」…小林源文の戦場劇画から



2010/7/15
大村浩一


短歌 残夢2010 Copyright 大村 浩一 2010-07-16 20:55:47
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