洪水
非在の虹

粘土と唾液で造られた都市から
悪臭が漂ってくる
鼻のつまった男達が希望を語り合っている
むごく発達した上腕筋
愛撫はハンマーの一殴りだ

雷鳴の方角をさぐれ ひびわれた夜空の
耳垢だらけの男達が音楽を聞こうとしている
鬱勃たる大臀筋が振動する
下じきになった女達は耳をふさいでいる

その口を閉じろ
涎はへそまで流れている
歯だけがいやに若々しい

その耳を洗え
女はとっくに死んでいる
洪水はすでに押し寄せている


自由詩 洪水 Copyright 非在の虹 2010-06-27 16:53:24
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