日常
非在の虹

わたしは男の帰りを待つ
待つ時間こそわたしを
存在させる
つまり待つことによってわたしは
男への愛情を確認している
しかしそのことを誰にも悟られたくない
そのため日常の動作は速く 
人の目にとらえられない
同時にだれにも批判できない事実
の錘がわたしを室内にすわらせる

わたしはいまだ男と平行に寝たことはない
なぜなら
男はいつも直立しているから
このことによって座標軸がつくられ
わたしは絶えまなく水平になれる しかし
関数の変化がわたしを眠らせない

その男のことだが
わたしは顔を知らない
そしてそれが男のすべてなのだが
わたしに待たれることによって
だれにも見えない存在となっている


自由詩 日常 Copyright 非在の虹 2010-06-27 16:15:26
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