ふるいうた
ぽこぽこへッへ

六月も終わりそうで
肺の中でもぞもぞ動く、痺れ
強気でいて寂しげで
怯えていて
この世のすべてのことを語り尽くしたとしても
現実を考えろ
この今はどこかでぷっつりと、いや
曖昧な揺らぎを描きながら消える
若い魚のような愛食う猫のカップル
ボールペン字から滲み浮き出てくる過去の記憶
それを書いているときの彼女の心境の感触が
そこにまだ
そこからまだ、立ち昇っているのなら
彼女の指の温度がそこにあった
どんな匂いがするのだろうか
罰当たりな烏、目に灯らせ
震える指でなぞる、埃被ったベクトル
今、ようやく舵がとられる
木製の温熱ふね
生温かいかぜ
うみを伝わって冷めていく様子が
愛の排せつ物
実体無い感情の具象化の過程
ラーミアの翼に乗っかって
うたはミルクに熔けるチョコレートケーキみたいに
崩れて消えた
崩れて消えた


自由詩 ふるいうた Copyright ぽこぽこへッへ 2010-06-24 03:07:15縦
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