神のコンペ
ぽこぽこへッへ

とんでもないウイルスが流行っちゃった
とにかくドバーッと急激に地球に降り注いだ
その速度たるや、なんかもうやばかった
人間だけが感染する、死亡率120%のウイルスだ
人々はバタバタ死んでいった
なんかそうゆう事を解決しなきゃって感じの理系達は
一生懸命、特効薬を開発した
なんとか出来た
でも、とんでもなく高価だった
どのくらい高価かと言うと
ハイパー!だった
なんでそんなに高価かと言うと
とにかく量が少なかったのだ
なんかそうゆう原料や製造法を使わなきゃ作れない薬だったのだ
しかも早急を要した

問題は、誰が使うかだった
ビルゲーツは買えた
他のお金持ちたちも買った
支払った金は、その薬を作るために殆ど消えた
ていうかもう採算がどうこう言ってる場合じゃなかった
政治家があくどい手を使って蓄えた金
すごい発明をして大儲けして得た金
ああ、このために金を蓄えてきたのか!
金が欲しいという衝動は、このときのために!
金を集められるということは、とにかく優秀だということだ
力が強いということだ
力の強いものを残す
力の強いものが残る
力の強いものが勝つ
生きる
繋ぐ
それが生物の原理だ

新薬は、様々な分野のトップと、その家族が使うことになった
もちろん、メディアはそのことを秘密にして
都合のいいことをテキトーに吹聴した
あちこちの国で暴動が起きた
温厚な人も、豹変した
最後まで自己犠牲的な人もいることはいた
しかし、すぐに静かになる
みんな、すぐに死んじゃったからだ

残された人々は、近親相姦アダムとイヴまがいに、
ゆっくりゆっくりと、再び増えていった

遠い未来、今とは少し顔つきや体つきの違う人間?が繁栄した
※その頃、畜生共もけっこう進化しており、
 猿やイルカなどは現在の我々くらいの知能を有していた
 でも、その頃の人間はさらに進化していたので
 やっぱり畜生は畜生扱いされていた
 大昔、人類の大半を死滅させたウイルスの特効薬は
 普通に薬局で売ってる
しかし、今度はもっと強力で半端ないウイルスが人類を襲った!
人類はまた、同じような窮地に立たされた
同じように乗り越えた
そんなことを繰り返していた
そんなことを何万回も繰り返した
時間が途切れることはなかった

やがて人類?の個体は、ものすごくでかくなった
月くらいになった
宇宙を普通に散歩できるようになった
四肢の概念は無く、バルーンのような身体になった
360°見渡せる視覚を有した
なんかもうよく分からない推進力を尻から噴射し
光速で移動できた
苦痛を生じる神経は退化し、快感を生じる神経は鋭敏になった
性別の概念もなく、いつでも自己増殖できた
しかも、セックスより何兆倍も気持ち良いのだ
寿命は仏様くらいになった
当たり前のように死ななくなる
学校での歴史の授業
「遠い過去、我々の祖先には死という概念があったのです。」
驚く生徒
信じられないと言って馬鹿にする生徒
かわいそう、と呟く優しい女の子(雌雄同体)

やがて人類?は、様々な不可能を可能にする
歩くかのように、ワープが出来るようになった
呼吸をするかのように、タイムトラベルが出来るようになった
この「有」・「有限」の次元も超え
無をも無として理解し、支配した
やがて半透明になった
そして透明になる
あらゆる色鮮やかさを内包した透明になった
肉体を超えたのだ
いつでも肉体と精神とを切り替えられるようになった
ついには、切り替えすら不要になり
肉体且つ精神となった
すると、個別性を超えた
君が僕で、僕が君で、僕且つ君になった
やがて、僕且つ全てになった
全ての人類はひとつの意思体になった
ひとつの世界になった
そして、創造を始めた
全ての創造が可能になった
そして、待つのだ
この世界を
 


自由詩 神のコンペ Copyright ぽこぽこへッへ 2010-06-14 02:05:13
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