有明
あぐり



いちまいの毛布から抜け出した朝は
月が赤い雲に照らされていた

宛はないのだけれど
ただただ澱む空気から
わたしをひとりにする風を感じたくて歩いた
夜明けの部屋ではひとり
きみが眠っている


裸眼では滲む世界が
もしもきみとおんなじに見られたら何が叶うの?
あのマンションの廊下を照らし出すいくつもの水銀灯が
きみにはどんな呼吸に見えたらただしいんだろ。


するどく冴え渡る霞の中
前から誰かが歩いてきたなら
肯定的に殺されたっていいよ
ナイフ、
持ってないなら
グッド・モーニング
わたしたちがわかりあえたら何が叶うの?

十数分間の不在は
なにもきみを欠けさせはしないようです
冷たいからだを毛布に滑り込ませて
グッド・ナイト
目が醒めたらそこには
わたしがちゃんと眠っている
そんなただしい朝がある





自由詩 有明 Copyright あぐり 2010-06-12 21:36:53
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