絡む根を梳く
テシノ

放った視線はもう戻らない
青いラインとなり視野の先へと伸びていく
たったいま不可視の場所は
あなたの瞼の裏です

略するでもなく連続で地面が傾いていく
朝へ朝へ
あちこちに梯子が突き立っている
まるで森の骨のようだ
夜明けが来るぞと遠くからフクロウの叫びが始まる
耳に届けたのは古い時計の音です

もう人形達との時間はおしまい
夢を覗くための梯子は
放置すれば勝手に根付きやがて芽吹いてしまうもの
瞼の裏で幾千の芝居がはねて
みんな出掛けている間に
絡む根を櫛で梳く

あなたが誰かは知らないけれど
夢で見知らぬ人物を見かけたら
それは私です


自由詩 絡む根を梳く Copyright テシノ 2010-06-04 17:50:19
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