本と私
番田 

私はいつも考える
夕闇として読み進む 私は
私は私を読み進めさせられていたのかもしれない
言葉を 私は 本の 主人公として

誰一人知らない 日記を
私が読むとき 君は元気で暮らしていたのがわかった
大好きだったアメリカ 親の融資のことも忘れている
そして遊んでいることだろう 勉強などそっちのけで

ページを 私はめくってから
私として どこへともなく歩いた 東京に立ち並ぶビルの中を
来たばかりの頃の記憶に 私は干からびた
干物だった 新人は胃を痛めさせられた

図書館に そんな本を返却させられた
ページが また切れているが 図書館は
返却されることをこの月日に認めるだろうか 私は
ああ 本に何を反省したのかすら 忘れている


自由詩 本と私 Copyright 番田  2010-05-17 00:13:21
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