プラスチックガス
プル式

心がスカスカとするのはまるでプラモデルになった様で、自分の力で何とかバランスを取り立っているのが精一杯になります。それはもう無様で、例えば指で突かれて転んでも自分の思うままに動けない体とか、足の裏側で見えないだろうと多寡をくくっていた削り残しが見えるとか、爪が折れてるのを誤魔化している所為で上手く合わずに開いてる小さな隙間とか、段々にそんな物しか見えなくなって行くのです

とにかく何かと足りないらしい僕としては、そんな小学生のプラモデルみたいな自分が嫌で、嫌で嫌で嫌で嫌で仕方が無いのですが、スカスカな心の中を、それこそ何とか満たそう満たそう満たそう満たそうと、あれこれ集めるたびに混ざり合う訳のわから無いあれやこれやが、スカスカとした心を余計に居心地の悪い物にしてしまい、それら有象無象が吹き出す醜悪なガスがさらに僕をプラスチックに変えてしまうのです

ああそれにしたって何という無様でしょうか。
悋気を起こそうとしたって起こせる程の中身が無く、顔を赤く黒く変えながら出目金の様に口をパクパクするだけで、吐き出された小さな泡ですら自分の尾ヒレで直ぐ様かき消して仕舞う小心者が、その少しばかり吐いた泡に自慢気な顔をしては直ぐに辺りをうかがい、誰が言うでも無い事に気を揉みながらまた赤く黒く怯え始めるその様は

ああ何という無様でしょうか、それならばまだ本物の出目金になった方が愛でられもするでしょうに、しかしそうなった僕はただ厚かましくも(しかし捨て犬よりも侘しい声で)愛をくれよと喚きたてるしかなく、それは正に小箱からこぼれ落ち埃にまみれながら主人の手の平を恋しがる腕の折れたロボットではありませんか。行く先は不燃ゴミが関の山、よしんば逃れたとて日の目を見ることがあるのでしょうか、いや、あるまい、あるまい、この先に何があろうか、あろうはずがない

心がスカスカとするのはまるでプラモデルになった様で、それはいつしか自分に解け合い、固くなった心がひび割れる事さえ気がつかなくなってしまうのです

あぁ、無常。


自由詩 プラスチックガス Copyright プル式 2010-05-15 19:15:24
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