母のいる場所
朧月

私がおかあさんというとあなたのことなんだけど
あなたはいつからかおかあさんだけではなくなった
ずっとはじめのほうからあなたはおかあさんとしての
ぶぶんが少なかったようにおもう

おとうさんというとあなたはきっとしてこちらをみる
というようなことがあった

もう今さら母の日なんてよそうと思います

世間と世界は同じなのか違うのかわからない
けど世間でいう娘は私のことなんです
あなたからみて

あなたはどんなことをえらぶときでも
家族とか家とかはだいぶ後ろのほうへ置く人だった
とおもう

それがあなたからしたら
わたしたちのため
であったかもしれなくても
当の私たちは あなたからの端にいる気がした

もう今さら母の日なんてよそうと思います

いつか読んだ本の中に
おやこなんて臨終のときに
ごめんねと言えば許される 
とあった

もう今さら母の日なんてよそうと思います

けれども 今日より前にあなたに手渡した
あれはあなたのことを
すきだった私が選んだものでした

母の日をよしてしまって
並んで座れればいいと
おもってあなたにむかうバスの中にいます



自由詩 母のいる場所 Copyright 朧月 2010-05-09 13:33:40
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