五月の窓
未有花

ようやく僕の窓にも光が差して来て
暖かな日差しを感じるようになって来た
めいっぱい窓を全開にすれば
この病んだ部屋にも新鮮な空気が入って来て
まるで心が洗われるよう

しばらく窓辺で風に吹かれていると
おいで
そこから出ておいでと
誰かが僕を呼ぶ声がする

その声に導かれるように
窓に手をかけ足をかけ
思いっきり窓の外へジャンプすれば
ああ なんて眩しいんだろう

僕が窓を開けない間に
季節はいつの間にか夏に変わっていて
何もかも緑色になっていた

いつもは窓辺を飾る花が
もうすっかり散ってしまっていて
ちょっぴり残念だったけど

僕の大好きな季節がやって来る
そう思うだけで心はときめいて
この緑に今にも溶けてしまいそうだよ

もうあの部屋に戻れなくったってかまわない
いやむしろ戻りたくない気分
このまま緑の中へエスケープ
僕は風になるんだ



自由詩 五月の窓 Copyright 未有花 2010-05-06 10:07:25
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