世界の果て
たもつ

 
 
世界の果てに
ベッドがひとつ
ぽつんとある
父が横になっている
わがままばかり言って困る、と
母から連絡を受けた僕が
その隣に立って
父を怒鳴りつけている

親に向かってその口のきき方は何だ
父は僕を殴ろうとする
けれど拳を握ることはできないし
たとえ握ることができたとしても
それが届くことは無い
ということを知りながら
父も僕もお互いを怒鳴り続けている

やがて疲れてしまったのか
父は冷静さを取り戻し
明日も仕事があるから帰りなさい
と穏やかな口調で言う
深夜二時、世界の果てが
いつもの静けさを取り戻す

明日も仕事があるから
僕には言い訳がある
でも父と母には
言い訳が無い
 
 


自由詩 世界の果て Copyright たもつ 2010-04-30 20:34:55縦
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