仰角
within

瞬間見えた隙間に
飛び込んで
五線譜に記された過去と未来を
現在に引き戻す
柔らかな肉の感触が
夢の中で甦る
もう少し先を見たかったのに
覚醒は強制だ

飛ぶ鳥がいなくなっても
空は今でも青い
雲がなくなっても空は青い
舗装された畑にもう花は咲かない
公園に集まる人々は
どこか土の匂いを 肌触りを
求めている

何かを変えるつもりはなかったのに
周りに合わせていたら
譜面が変わっていた
重ね合わせた演奏は
微塵のズレもなく、世界は完璧なのに
言葉はいつも不完全だ

抱き合う音に
塞がれていく気孔

緑が生まれる

青い空を目指して
虫を運ぶために
枝を伸ばそうと樹々が鳴き始める


自由詩 仰角 Copyright within 2010-04-30 08:55:13
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