曇天
虹村 凌

鬱々と続く暗く腐った毎日を
恨み辛みを垂れながらやり過ごす
叩かれ指をさして嘲笑われても
ヘラヘラと顔を歪めて逃げてきた
下らないクダを巻かれ
横殴りの痛みが頬を突き刺す
堪え難きを堪え
忍び難きを忍び
和を以て尊しとなしてきた

社会派面した彼奴等の
呂律の回らない戯言は聞き流せ
眉をひそめられ
病気だ構ってチャンだと鬱陶しがられても
知った顔して「良い奴だ」何て言われるよりはマシだ
理由も理屈も後付けていいんだ
街は自由と言う名の監獄で
毎日は我関せずの相談天国
あんな大人になんかなりたくねぇと
吐き捨てたツバを飲込んでる奴等
理不尽が堂々と道の真ん中を歩き
真実が猫背で道の端を歩く
相変わらず正直な奴が損を強いられて
人間証明書を持たない奴が椅子の上で高笑う

敢えて苦しみを拾って
哀しみを拾って
誰かの傲慢も嘘も愛も神も仏も糞も味噌も拾って
全部まとめて燃えるゴミの日に出してしまえ
あらゆる挫折を飲込んで
孤独を涙目で睨み続けろ
痩せこけた精神で
何処に噛み付けるのかわからないが
一度でいい
噛み付く根性が欲しい
だっていつも世界は一晩でひっくり返る
誰かの偏見や戯言に惑わされる事無く
怯まず畏れず退かず媚びず省みず
奢らず高ぶらず自惚れず
腐らず全てを睨みつけて
己を値踏みせずに
拳を握り締めて前を睨みつけろ
正気の沙汰じゃねぇと
狂った馬鹿達に笑われても
目の前の世界は歪んだりしない


自由詩 曇天 Copyright 虹村 凌 2010-04-21 18:20:29
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