秘められしもの
麻生ゆり

ふと風が吹いて
私の髪が一瞬
ふわりと浮いた
それはまさに
私の心そのもの
春の心

風はとても優しくて
陽の光を浴びて
とても暖かい
なので髪だけでなく
私の身体すべてを
撫ぜていってほしい
私がそれを許すから

これまで
たくさんの風に煽られて
ずいぶんと遠いところに来た
それが
私が本当に憧れる場所かどうか
わからないけれど
この心ひとつ持って
歩んでゆきたい
これを最後に…

春の風は
行くあてもなく
ゆっくりと吹いてゆき
私を通りすぎる
とどまってほしいけれど
それは叶わぬ夢
私の心は
それをわかっているから
なおのこと愛しいと
今遥かな場所で思う


自由詩 秘められしもの Copyright 麻生ゆり 2010-04-20 00:02:58
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