かいまき小唄
テシノ

何そうやってさっきから
イヌコロみてぇに聞き分けねぇのさ
これは雨戸のすき間の音で
風は声なぞたてやしねぇよ
聞いてて骨が辛ぇのは
いつでもこっちの勝手さね

まったく大した晩だねぃ
湯呑みの酒まで震えてらぁな
侘しまぎれに飯でも炊きゃあ
三和土の土がぽっぽとぬくい
誰だい手桶の汲み水に
小鮒放ったバカヤロは
真ん丸お月さんに捕まって
錦の夢を見てやがる

明けのからすの鳴くまでは
寝床におとがいうずませて
坊主っくりのお月さん
くしゃみ一つのかいまき小唄

寝付けねぇならこっちへ寄んな
ナニ鮒じゃねぇよお前さんだよ
怖かねぇだろシケた面して
風もこんなけ暴れりゃあ
朝にゃおもての木戸まで飛んで
極楽まででも見渡せらぁさ


自由詩 かいまき小唄 Copyright テシノ 2010-03-30 22:46:04
notebook Home 戻る  過去 未来