金曜日、水槽の中から
でこちゃん

昼間でも煌々と灯る蛍光灯を
浴びながら高層の水槽の中で
一週間の最後の日は泳ぎ疲れ
さっと差し出してくれる掌を
探しても向けられた背ばかり

おやつだよと配給される菓子
一息入れようと無心で咀嚼し
奥歯から全身にキーンと響く
アルミホイルの欠片の仕業が
脳内を感情をショートさせる

もはや感電死溺死寸前の寸前
水槽の外は予報外れの雨降り
条件反射で心悲しくなるから
防衛機制がかかって逃避する
君のやわらかく温かい掌の上

その掌の上で転がりたい放題
感情線の轍にこっそり隠れて
君は知っていながら知らん顔
それをまた楽しんで転がって
何かの妖精みたいに無邪気に

走馬灯の中心でラブと呟いた
冷たい水槽は唇を紫に変える
水圧のために深海魚に変わる
眼も耳も口も塞がれてしまう
どこかにそんな猿がいた記憶

口をパクパクさせながら走る
空気ポンプのある女子トイレ
愚痴や噂や香水の臭いが溢れ
居心地悪くも一番マシな場所
態勢を整えて最後のひと泳ぎ

カラータイマーを胸に着けて
定時になったらシュワッチと
水槽突き破って帰るんだから
水槽突き破って帰るんだから
水槽突き破って帰るんだから






 


自由詩 金曜日、水槽の中から Copyright でこちゃん 2010-03-26 23:55:17縦
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