夜ごと零時零弐分の女声獨唱歌 新宿※こすり
salco

女の腹が真珠(たま)孕み 男の腹に指が這ふ
愛ほしいひと、今宵貴方を離さない
貴方をわたしに誘ひたい
迸る極楽浄土を黄金で編んだ煉獄に
火と蛇で撚つた鎖で繋ぎたい

男の胸に日が昇り 女の胸に月が出る 
いとほしいひと、あした貴方を忘れたい
貴方を犬に食はせたい
嵌合の不実で花園蹴散らし逃げてつた
後ろ髪掴んで刺して食はせたい

林檎の中に棲む毛虫 白い肉を食んでゐる
砂食む音が耳の中、眼窩の中でこだまする
カラスがわたしの痴宮突く
幾つ寝るとお正月 うぢ虫泪の餓鬼が泣く
風上に匂ふ仕合せ赦すまじ

股倉開いて歌ひます 五度音程で歌ひます
悲噴慷慨怨恨嫉妬 未練の四弦で奏でます
火山で拾うた貝殻で 爪研ぎ今宵も掻き鳴らす
戀に盲の渇き歌 遊ばれ女の迷ひ歌
輾転反側血を流し、鬼へも届けと呻きます

指が全部折れますやうに わたしを抱いて
足萎へるのぢやまだ足らぬ
肉が爛れて膿みますやうに も一度でいい
水子供養ぢやまだ足らぬ 
目玉が取れて舌腐れ 逢ひたい逢ひたい
逢ひたいよ
わたしを忘れるのぢやあまだ足らぬ


※参番迄は東口にて歌舞伎町方面を向き、四番からは西口へ転調のうへ
 都庁方面を向いて歌ひます(南口は若人が多く、対面に勘商場しか聳
 へませんので歌ひません)。

       
 唱歌 お正月 東くめ作詞 滝廉太郎作曲


自由詩 夜ごと零時零弐分の女声獨唱歌 新宿※こすり Copyright salco 2010-03-23 23:06:00縦
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