バスの中で男を殴る夢を見た
虹村 凌

バスの中で後ろに座った関西弁の男を
持っていた画材の入った袋で何度も殴る夢を見た
小さな声で歌っていた鼻歌が五月蝿いと言うから
黒い画材の入った袋で殴ったり喉元を突いたりした
俺は滅多にバスには乗らないけれど
そんな夢を見た

何か切欠さえあれば次は俺の順番だと思う
今度こそやってしまうかも知れない
どうせだったら
この世界を焼き尽くす程の爆弾が欲しいけれど
卸したての戦車も無いけれど

ナイフを持って鏡の前に立って笑った事がある
あまりにもちっぽけであまりにも無力だからだ
それが包丁だったとしても拳銃だったとしても
あまり大きな差じゃないだろうけれど


自由詩 バスの中で男を殴る夢を見た Copyright 虹村 凌 2010-03-22 20:48:42
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