サニー

あまりにも偶然の
そういったひとつの雫のように

午後の空は案外小さいものだ

倒れている私には
自分が呼吸をしているのかさえ曖昧で
ただ
降る眩しさだけがほんとうだった
(やっぱりなぁ)
(やっぱり雲は千切れていくのだ)

認められる現象を
幸せと名づける力がもう少し前からあったなら
こんなふうな私の涙の量
泣けない誰かに分けてあげられたのにと思う

ふわりとした細く茶色いお前の髪
りんごのようなほっぺたは

もうすぐ何度目かの春を迎える


形を変えて
願いを変えて
祈りを変えて

みんな
あたらしい空に生まれていく
(高度はおよそ三〇〇〇メートル)
(風は南西)

その永遠的な距離も
お前の正しいその眼をとおせば
まっすぐに愛しく映るだろう
(そのままならば溢れるほどの約束)


私の折れ曲がった右腕も
穴の開いた左の鼓膜も
お前から見れば世界の一部となりおおせる

異質という概念がお前を縛ったりしない限り
見える世界は百億さえも超えていく


ごらん、と私はお前に言ってみよう

広がるのは荒野か楽園か
そんなことはお前が決めることだけれども

柔らかい日々が続かずとも

晴れた日は
誰かのことを想ってほしい


もうすぐ春が来るよ

どうかどうか
きっと

いつかのそのままの気持ちで





自由詩 サニー Copyright  2010-03-21 20:40:37
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