かならず蛙
水町綜助


ときには素直に
夜の空の暗さをみる
ただ光がないだけの話で
じつは日中となにも変わらないように
ぼくの思うことも同じだ

々という文字を子供の頃
不思議に思った
それをつなぐだけで
連続することになるとは
違う文字なのに
そんな不思議が溢れていて
ときにまったく目新しく
プルトップを引いた缶から総天然色が一面に広がるように
刷新されたこともあった
新しい町を訪ねるたびに
そんな感慨をぼくは求め
地図を広げる
いまB4の世界には
ランズエンドがあり
裁ち切りの果てがあるけれど
そのようにぼくには捉えられない


歩いた町を忘れますか?
忘れはしませんが
ただ
まだ歩いていません
あり得ない色をした大地を
いびつな木々を
その奥で老夫の顔に刻まれる皺を
そこに染みる汗を
群生するグラスを
取り締まる法もない
置き引きも
すりも
火事も
あらしも
地鳴りも
津波も
スコールも
ピラニアも
くまも
ぼくの知るものはぬいぐるみだし動物園でねてる
そんな寄る辺ない
あるとすれば
友愛とかそんなことしちゃかわいそうだとかだいじょうぶ?とか、そんなようなもの
そのアウトラインをなぞり
歩いてみたい

東京
名古屋
ぼくの日常
そこにたしかにあるぼくの好きな人よ
ぼくがそれを見ることをゆるしてくれるか
ぼくはかならず帰るから
げこり


自由詩 かならず蛙 Copyright 水町綜助 2010-03-17 03:08:08縦
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