子供の逃亡
番田 

死にそうだけどああ
祈っているだけなのだろう この僕という人が人なのかもしれないと
生かされていることとして この僕という人が人なのかもしれない心で
微笑んで そして考えこんでいる

死ぬことなど恐れさせられているとしても
何も食べないままいると そこで終わっていくことなのかもしれない
寂しいのかもしれない そうして君たちはそこで
美味しいものを胃に ただ食べようとしただけのはずだった

生姜焼き定食は今日もテーブルからなくなる
テーブルにあるのはとても 大盛りのスタミナ丼だった
小盛りのスタミナ丼は もうすでに販売自体が取りやめになって間もないけれど
大盛りの方は誰にでも手に入る ただの見てくれの値段だった

山が遠くをそびえているかもしれなかった
川は間をぬいながら 野へと流れこんでいく
子供のようなシルエットが 床の上を走り回っている
車のようなふりをしながら 道としてのそこを流れ出ていく


自由詩 子供の逃亡 Copyright 番田  2010-03-02 00:41:39
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