ミステリーを紡ぐ/きみを分析する/Saturday /きみが好きなのか
たちばなまこと
好きな音楽を耳にあてがう
ピアノロック
オーケストラロック
メロディアスロック
からだを
揺れるドアにあてがう
レールを走るリズム
骨まで
届けて
感情よ
出ておいで
ミステリーを紡ぐ
きみを分析する
Saturday
きみが好きなのか
そんな歌を耳にあてがう
いつかの寒い夏の祝日のように
カーディガンを一枚羽織り
何度も
くりかえし
ミステリーを紡ぐ
きみを分析する
Saturday
きみが好きなのか
隣の知り合わない人を見る
隣にいない知りすぎている人を思う
イヤホンに密封された
声が
極彩色の音符が
内臓にしみ入ってくる
満ちてゆく甘い痛みに
目の奥が疼くなら
目をつむって
寒さのせいにするように
くもる窓に走り書きをする
ただ一人だけ私の本質を知り得ない私を
紡いでいるのは
人々から譲り受けた感情か
何度も
くりかえし
ミステリーを紡ぐ
きみを分析する
Saturday
きみが好きなのか
隣の知り合わない人を見る
隣にいない知りすぎている人を思う
軌間の広い電車にゆられ
少し
眠い
アルベジオが弾けたら
いいのに
そんな夢をみる
波長の長い色の
天然石を買い集めた
丑三つ時に組み合わせる
これが
ミステリーを紡ぐということなのか
窓を開けて
チャームのような幻獣を招き入れた
弦楽器の
D C# A
で始まる曲
ミステリーを紡ぐ
きみを分析する
Saturday
きみが好きなのか
ミステリーを紡ぐ
きみを分析する
Saturday
きみが好きなのか
人々が言うような
ひく手数多ではない
言い残して
捕まえた幻獣が
朝靄に溶けた
ヴィジョン
フラッシュバック
Saturday
ミステリーを紡ぐ
きみを分析する
きみが好きなのか
ミステリーを紡ぐ
きみを分析する
Saturday
きみが好きなのか何度も
ミステリーを紡ぐ
きみを分析する
Saturday
きみが好きなのか