ルーム
マッドビースト


 六畳の部屋には僕がいた
 君がいた
 ソファーもベッドもない部屋に
 僕らは日がな一日そこにいた
 そんな日がよく在った

 雲が空を覆う夜には
 僕は君の瞳に電灯の光を集めて月を見た

 雨が外を満たす朝には
 僕は君の胸に耳をあて太陽の鼓動を聴いた

 体を持て余す退屈な昼には
 僕は二つの丘の間に遊んだ

 部屋の中にも雨は降った
 僕の指は何度も君の涙を拭った

 光が恋しくなれば
 僕は詩をよみ君の笑顔を求めた

 君の声は唄だった
 君の唇は渇きをいやした

 六畳の部屋には僕がいた
 君がいた
 世界があった
 全てがあった
 君がいた
 僕はここに全てを見つけた

 それでも
 君はここになにを見ただろう 
   


自由詩 ルーム Copyright マッドビースト 2003-10-06 01:44:26
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