燃える秋、ススキ野 原で。
千月 話子

ススキ野 原が 北に向かって揺れている
渇水した南風 けだるい西日
東から 懇願の声が聞こえる

私もそこに加わろう
この手に 白い穂を付けて

太陽の光りがいつまでも照らし続ける体(茎)
うまく揺れない未完の体
節々が揺れるたび
葦を編んで 擬態する

そのうち 不恰好な
ススキ野 原にも
夕日は惜しみなく
赤い火を落とすのだろう

遠く雷鳴が聞こえる

明日の雨を期待し
明後日の風を待ちわびる

いつまでここに留まるつもりか と
うな垂れる 穂は
空を見ようともしない

模倣した 生魂が 
一束二束と 高く背を伸ばし
北の彼方に ざわざわと
申し立てる声が聞こえるだろうか・・・・・


折れる背に水は無く
そのうち消える 我が心根に
愛しいと待ちわびる
鈴の音を 早く聞かせておくれ

そうして 空よ 空よ
空に打ち寄せる さざ波よ
侵食する夏の火の 息の根を
そろり 止めて

生かしておくれ


自由詩 燃える秋、ススキ野 原で。 Copyright 千月 話子 2004-09-28 16:33:16
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