下手なキス、して。
Rin.
横断歩道の黒白正しく踏み分けていくように押す部屋番号「206」
無機質なふりして並ぶ玄関のドアは夜まで熱が抜けない
ココナツの洒落た香りが悔しくて窓に3ミリ隙間を作る
青いジャージが転んで泣いている床はバリアフリーがウリの設計
蜂蜜を君の翼に塗りつけてパリリと揚げたいのは愛ですか
secondはイヤなの だから何度でも呼び捨てにして。下手なキスして。
空っぽのティッシュケースを追いやって今日はベッドでどっちが眠る?
恋人ごっこは終わりにしようテーブルでアップルティーが冷めていくから
金色の髪も涙も墜つていいくシーツの色はエデン・ホワイト
くしゅくしゅになったピンクの靴下が見つかるまで、ねえ、「アイシテル」って
ゆるゆると乾いた苦さを流すときまたひとつ咲く梔子の花
柔らかなひとだと思う 明け方の雨の国道自転車がゆく
ジャムの蓋忘れたままでする二度寝ゆらゆらしたいのは君のせい
トイレットペーパー三角形に折る会いたくなれば電話ください