下手なキス、して。
Rin.


横断歩道の黒白正しく踏み分けていくように押す部屋番号「206」


無機質なふりして並ぶ玄関のドアは夜まで熱が抜けない


ココナツの洒落た香りが悔しくて窓に3ミリ隙間を作る


青いジャージが転んで泣いている床はバリアフリーがウリの設計


蜂蜜を君の翼に塗りつけてパリリと揚げたいのは愛ですか


secondはイヤなの だから何度でも呼び捨てにして。下手なキスして。


空っぽのティッシュケースを追いやって今日はベッドでどっちが眠る?


恋人ごっこは終わりにしようテーブルでアップルティーが冷めていくから


金色の髪も涙も墜つていいくシーツの色はエデン・ホワイト


くしゅくしゅになったピンクの靴下が見つかるまで、ねえ、「アイシテル」って


ゆるゆると乾いた苦さを流すときまたひとつ咲く梔子の花


柔らかなひとだと思う 明け方の雨の国道自転車がゆく


ジャムの蓋忘れたままでする二度寝ゆらゆらしたいのは君のせい


トイレットペーパー三角形に折る会いたくなれば電話ください








短歌 下手なキス、して。 Copyright Rin. 2010-02-13 00:10:03
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