三千世界

良かった、と呟いて
それからまた手を離すんだろう

そしたら宇宙の端から呼んでくれよ

必ず応えるさ、

まだ本当にそこにいればね



ニルヴァーナ、

そこにたどり着こうとするほどに
何度も生き延びてしまったりして、

また、会いたい人に会えなかった

そんな悲しみなら、たぶん皆背負ってる

そのための螺旋



夕闇が来る前に
感覚を取り戻そうとするけど

もう、遅い?

そうだな、何だか無意味なアザばかり増えていくようで

少しだけ怖いよ



掌、指先、から風に吹かれて解けて消える

砂が零れるほどの時間の間に
さようなら、の数だけが大事にしまわれて

もう取り出すことも無い、かもしれない

でも

ありがとうが言えて良かった
ありがとうが言えなくてごめんね

有ることは難しいのに
そこに居てくれたから



空ではじけて
緑にたおれて
海にしずんで

たくさん泣いてきたのかもしれないけど

今は、知らなくていいし
思い出さなくてもいいんだと思う

でも、できればもう少し笑っていたい、かもしれない

意識にがんじがらめにされても
笑い転げることが好きだ



忘れないさ

三千世界にただ一人だ

どんなに終わりを繰り返しても
星の数がいくつあっても

いつか何にも見えなくなっても

どこにもいなくなっても


もう、大丈夫


なんにでも形を変えて


また、日が沈むまで遊ぼうじゃないか







自由詩 三千世界 Copyright  2010-01-28 23:37:11縦
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