吐雪
mizu K

でもそれは、
あ、という言葉ともつぶやきとも知れない
といきするしろいすいじょうきの
連結に
わたしは路上をしゅぽしゅぽと
滑走する

屋根つもる
雪たちに挨拶する
敬礼をびしっとかえす結晶たちに
これはこれはと
恐縮する
どうもどうもと
腰引けるやいなや

わたしに続いてきた足あとが
てんでに歩きだして
わたしの歩いてきたあとには
なにもない、なにもない
ぞっとするほど遠くまで
それはそれは
ほそくてほそくてたよりない
あやうい道がのびていて

空にはぽんぽんと小さな雲が
あれはわたしがはきだしたいき、だろうか
遠くからうなりをあげて
たちあがる音に
なんだろうと怯えていると
避雷針は持ってきたか、と
耳もとがささやいて
きえた


自由詩 吐雪 Copyright mizu K 2010-01-22 00:45:23
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