青空
銀猫

冷たいゆびで
摘まんだ雪は
わずかにかなしい方へと傾斜し
山裾の町は
湖の名前で呼ぶと
青い空の下で黙って
わたしの声を聞いている


凍った坂の途中から
見渡すと
連なる峰の稜線が
町中を影で包み
薄く宵の気配を
漂わせて
気持ちを急かす

ここからは
戻る列車のレイルは見えず
わずかに
灯油の燃える匂いが
こころもとなさを緩めて
きみの背中を思い出した

過ぎた駅を
こころの隅に置いて
毛布のなかで
体温を探ろう
わたしのかたちを
覚えておくために


地図はきっと
もういらない





自由詩 青空 Copyright 銀猫 2010-01-13 02:22:50
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