Walking Snowman
itukamitaniji

Walking Snowman

雪の降る寒い日に 僕は生まれたんだ
小さな少女の小さな手から
僕の不格好な 姿を見て無邪気に笑う
彼女の笑顔に心が温まった

短い僕の首に かけてくれた縞模様のマフラー
彼女のお気に入りだったけど
今夜は寒くなるからって 馬鹿だな僕の体は
冷たい雪でできているのに

別れ際何度も 僕を振り返っては笑う
彼女が小さくなってゆく

こんな温もりは きっと僕になんて勿体ない
彼女に返さなきゃ そんな思いが奇跡を呼んだんだ

動くはずのない僕は 歩き出したんだ


小さな足跡を辿って 彼女の姿を追っ掛けた
足の無い体を引きずって
寄り道ばかりの足跡 おかげで何度もさまよった
くねくねと道は続いてく

だけど立ち止まる度に 色んなものを
僕に見せてくれる

道端に咲く花 飾り付けの立派な大きなもみの木
無邪気な笑い声の子供達 見るもの全てが僕の

心を温めて 優しい気持ちになれるんだ


雪が止んで空が 太陽を連れてやって来た
暖かい日差しを身に受けて
解け出した体 もう少しだけ崩れないで
彼女の元に辿り着くまで

どこかで目玉を 片方落っことしたみたい
霞む視界の中で

小さな足跡を辿って やっと君の家まで来れたんだよ
凍り付いた窓を叩くから ママにばれないように出ておいで
慌てて飛び出して来た彼女 やっとまた出会えたんだね

ありがとうこんな僕にも 温かな心をくれて
すっかり解けてべちゃべちゃな 僕を一度だけぎゅっと抱きしめた
彼女の温もりで解けてく さっきまではあんなに

解けたくないと願ってたけど 今は心地良い
その温もりで いっそ全部解かしてよ


自由詩 Walking Snowman Copyright itukamitaniji 2010-01-12 00:47:17
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