closing
月乃助



花弁が
閉じられていくように 
終わってゆく 
それは、けして植物をたのしむ
観賞的な終焉などでなく

冬空のきびしさに
指先をこごえさすように
手をのばそうと、
やってくる

一つのクラスタから生まれた時が、
もう少しで、【。】をつけるように
閉じられる
あきれるほどに繰り返される
その先は、延々と続いているのに、
からだが感じるように
本を読み終えるように
むかえるしかない
甘苦

時計の針のうごきは、
植物の春を待ちこがれては、
冬眠する獣たちも、
回帰をくりかえし
終わることのない
待望

一月に始まり十二月に終わるのですから
簡単なのです
区切られるものは、
作り出された 幻想であっても

わたしは、
時計をなくしました
時間をどこかに おきざりにしてしまった
それから ときはなれたものとなるなら
ひどく不便な自由なのですね

非現実的などと、だれもが恐ろしがって、

でも、もうよいのです

節のなかでしか、それは 意味をなさないから

今年、どれほど声を立てて笑いましたか
はっきりと、暮らしのなかで
他人をかえりみながらも 喜びが
なくては いけないかのように

今年が終わらなければ
カウント・ダウンに行くことだってできやしない、
それだけの 意味があるのかもしれません

数字の
一つが加わる年に
ほんとうは、何が変わるのでしょう

ただ
人の思い出のなかで、
長い時に悲しい記憶は、消え去り
歴史に同化しても、
楽しい想いは、心に残っていたりする
いつまでも、巨きな【・】のすがたをしながら
それを
大事にして、
生きていくのです

だれにとっても
やってくる年が、
幸多き年でありますように




自由詩 closing Copyright 月乃助 2009-12-31 07:09:41縦
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