蟲詩
海里

蠢くものでありたい
食い尽くすものでありたい
這うものでありたい
啄ばまれるものでありたい
花から花へと飛び交うものでありたい
土や水や植物やコンクリのあらゆる表面を
逆さまにも垂直にも歩いてゆけるものでありたい
樹液を舐めては角でしのぎを削りあうものでありたい
十七階建ての十七階であろうと血を求めにゆくものでありたい
脱皮したり蛹になったり
寄生したり寄生されたりするものでありたい
光ったり擬態したり共喰いしたりしたい
外骨格の中にぎっしり内臓が内蔵されていて
それが羽化した果てにはいつのまにか卵のみ抱いているものでもいい
生むものでありたい
生まれてくるものでありたい
炎天下には大勢で/一匹で
木陰にじっとしているものでありたい


自由詩 蟲詩 Copyright 海里 2009-12-25 21:48:42
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