れつら

水の中のほうがあたたかいの、というので、
手をひたすが、爪の間を刺す冷たさ
違うからよ肌の面積が、先に言えよ、思う。その前に手を引く
これから踊るというのに、着替もしない。

人魚だった。

怜悧な眼はまばたける。
ほのかに違えている体温をなじませるように、
呼気と吸気を気遣うのどぼとけ。
それを見て笑う。ああ、

何時間か経つだろう。
鱗は?忘れてきた。事もなげにころころと
踊る水滴も髪から落ちぬようになったそのころ。
今日は何時間残ってる?
まだまだ。
もうちょっと。

日のあるうちに空気と混じれ。
そして分かつように。今日のうちに。
夜にはさかいめもないのでね。
海そら。見る間のさまもなく打ち寄せるよ、とばり。


自由詩Copyright れつら 2009-12-05 17:44:18
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