殺風景
テシノ

歌う時は過ぎた
語り合いもやがて終わる
引きずるものが風に
飛ばされる事を望む/望まない
両足で押さえたそれを
お前は影と呼ぶ

息をつめた手の中で
揺れる蝋燭の炎が
蠢めく影をいつか
逃げ出させはしまいかと
私は心と呼ぶ
押さえ付けた者は
押さえ付けるが故に
やはり動けないのだった

私が生かしたものをお前が育てる/お前が殺したものを私が葬る

嘆きにとどめを
それなりのナイフを
突き立てる時はどちらが
震えるのだろうか
透明を装って覚悟を強いる
吹き出る血をかぶって
微笑む覚悟を

梯子を下ろす淵に
上ってくるものを待つ
巨大な刃物を持つ者に
名を呼ばせてはならない


自由詩 殺風景 Copyright テシノ 2009-11-29 17:03:32
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