全ての哀しい夜のために
ピッピ

一人でゲームセンターに行った帰り
コンビニの前で黄髪のお兄さんの鋭い一瞥と目が合った
単に喧嘩を安売りしているだけなのか
それともただ単に
一つの穴を巡る目眩く争奪戦の一つの
火蓋が切って落とされたというだけなのだろうか
哀しい目差しを差し置いてコンビニに入り
楽しそうに談話をしていた女子高生の気怠い挨拶を受ける
暖めて下さい、とポツリと言うと
店員はおにぎりを電子レンジに乱暴に放り込み
お釣りを投てき種目のように渡した

確かにそう、あなたたちはあの瞬間
わたしの敵であったことは事実である
それでも
誰かのワギナから生まれ落ちて
心臓からつま先まで血液を送ったり呼吸をしたり
そういったことをしているだけで
毎日謝罪のない戦争をしていかなければならないのなら

夜は全て哀しい
陽は落ち星は落ち
空が向こうを面いて何一つしゃべろうとしない
嫌われることによって受けるべき苦痛を誰もが共有して
四次元のもう一つの軸を歩いている

全ての哀しい夜のために
カラフルだった昨日を忘れさせてあげよう
道のない明日を迷わないように
泥まみれのフットプリントを殴り殺す
全ての哀しい夜のために
まぶたにかかる鎖を外してあげよう
目を開けていても
寂しさの小指がつながっている

おやすみ


自由詩 全ての哀しい夜のために Copyright ピッピ 2009-11-28 00:29:26
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