窓は開けない
竜門勇気


もうおれは
めんどくさくて
なにもできねーよ
さむいけどあるいてる

眠くはない
つかれてるだけ
眠くはない
負けてるだけ

ひとにあいたくて
ここまできたけど
ぼろいじぶんといるだけ

眠くはない
むりしすぎただけ
眠くはない
もうだめなだけ

終わった駅の
さいごのさいごで
汚れたつまさき
ながめて夜をすごしてる

眠くはない
眠くはない
さめた光が
ひかって途切れて
途切れてはひかるし

思い出のどっかでは
うそ臭いやつほど
きれいにみえる
遠くほど近いや
楽しかったみたいに見えるや
戻れるなら戻れよ
戻りたくないばかりで
うそとほんとが
やけに仲がいい
眠くはない

よその連中は
珍しい出会いに
夢中になってる
どっかいって こっちにきて
ぼくは幸せ
ぼくは眠くはない

めんどくさい酒瓶
中身を灰皿に注いで
全部 全部 全部のうち
ほんの少ししかいらない

寝ない
ねむたくなくなくもなくただただねない
どの窓も開けない
だれがのぞんでも
どの窓も開けない



自由詩 窓は開けない Copyright 竜門勇気 2009-11-19 17:02:05
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