白黒、
ヨルノテガム







死の淵の
沼の中から浮き上がり
息を始める餓鬼の手があり




 幽霊の ように生きるアナタ 目の隅に



 ひとつふたつ みっつよっつと あてもなく




昆布が透明な海にユラユラ泳いでいる
ナニ泳ぎなの?クロール?平泳ぎ?まさか
バタフライじゃないよねぇ ああ、背泳ぎね えっ
違うの、近いって? なに? ――溺死。
そんなぁ 絶望的光合成は まだあるワ




 天使と髑髏 スーパーリラックス 体操して待つ



 立ちのぼる 人と影と 展覧会



 画家の夢 大人も子供も 信じてる



 オナるから キスとセックス してて頂戴



 作品は 神秘を願う 表れか



 四、五十年 前の人間の 瞬きを

         白黒でない 今が手を伸ばす




水が溢れ出ている 日中の乾いたコンクリートの坂道に
僅かな隙間が・・・・(どこかで何かが壊れ始めているような)
水はしみ出ている 蒸発しながらも跡形は1メートルばかり
ずっと ずっと




 歯車の 軋みで目覚め 外は晴れ



 一枚、二枚と皿は割れ 井戸へ隠れる 三枚目のオレ



 今日もまた テナント募集の 窓は暗い



 炭ぶつかる 乾いた音は 怖い音



 蛇口から おじいが出てきて 徘徊ス




彼らは虚を好む ひとりが何役もこなし場を盛り上げようとする
いつかは演者にも客にもなれなくて暗闇でスポットライトを
探す羽目になる ライトにだってなれるし舞台装置にだって
なれるのに 虚人は何処かに消え去っている
――語ることを巡る旅




 モノトーン 光と影に 柔らかさ舞う



 天井に 魚拓のさかな 泳ぎ出す、海



 おもて灰 裏も灰色 オセロの休日



 シマウマが 白黒映画を 振り、振り向く



 開店の 藍の空に 女は灯す




その女優は天性に思えた
M男を調教するS嬢として 女は男の要求に
何度も聞こえないフリをして懇願させ叫ばせた
思い描く未来は急速にテンポアップしてやってくる
設計図はどんなに漠然としてても温めていれば
繋がる道筋に気づくことはある
ある他者とある閃きとあるエッセンスは
私という個だけが知っている創作へ結びつく




 おじさんが 少女の影に いたずらする夕暮れ



 ショートケーキ いちごだけ、あっと 食べる予感



 後ろから 女の陰部に のしかかる数式



 肉塊の 溺れゆくは 女の水辺



 エログロも 白黒世界で 潔く



 シロクロの 家、街、野原 「無」が宿り



 年末を 飛び石過ぎる 年末かな




ユルユルのバコバコの女の子ちゃんが
キラキラのマブマブの星を眺めてひと言、ガバガバでもお仕事
ガンバっていきますので応援よろしくお願いしますキラリン!と
すぐに海外へ飛び立っていった
女の子ちゃんは鳥なのかもしれない
いや、島なのかもしれない




 腋の下 くすぐるとキミ ロボットになり



 白黒の 写真に残る 生まれたまんま



 電気を消すと キミは影絵のように 語り出す



 太陽も 地球もまた 歯車仕様か



 落花生 殻音に咲く 紅茶色の双子



 手を繋ぎ 女を抱くと 宇宙の匂い




のりピーと
小声で言って
イッたので
足蹴りにして
地獄を見せたワ




 ブーメラン 返ってくる間に ひと眠り



なんとなく        なんとなく
  車に轢かれても立ち上がり  飛行機だけには絶対乗れない 



 冠を 外して裸に なる蛙  



 鳴いてみる 真上の月が 寂しくて



 おっぱいを 吸うとハシゴが 降りていく



 ヘビに飲まれた ゾウのおはなし ヘビかわいそう



 幼少を 過ごした道を 巨人となり



 ビール瓶 栓を抜くと 日付が変わり



 やかんの湯気 セクシーに吹き上げ 絶頂の冬



 燦々と 星降る夜空に くしゃみ吠え



 非日常の コスプレしたのは あちきでありんす



 さくひんは しんぴをねがう あらわれか



 一瞬でも いっしゅんでなくても ぼくはうれしい



 *



 穏やかな 仮面をつけた 化身来る
















自由詩 白黒、 Copyright ヨルノテガム 2009-11-19 12:02:14
notebook Home 戻る