赤い振り子
しべ

ミルクを注いで
ウバ茶にくるり描く

先日はアールグレイでやりまして
白くて砂山のようでした

赤い土の色
今日はおいしい
鼻を震わす香り

少しだけ砂糖を落として
空の指が匙に触れたら
耳元に冷たく掠れた音がします

息を吐くと舌が粘着く
吸ったら古い土間の黒

電話がないから
旅行雑誌に目をおとす
手編みのセーター
焼けた写真
皇帝の肖像
アイルランド
このさき灰になっても
届くかどうか

頁を閉じて茶を啜ると
窓に成田を発った飛行機の乾いた線が
溶けて雲の渦になってました

奥歯で噛み締めて
たまに絵筆にも託してみたりして

四角い木の部屋
夕方まで
この部屋にいます


自由詩 赤い振り子 Copyright しべ 2009-11-15 17:44:34
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