スナノユメ
草野春心



  ちいさな
  足跡が
  ひとつ、
  ふたつ、
  みっつ、
  よっつ、
  いつつ、
  むっつ、
  ななつ、
  やっつ、
  ここのつ、
  続くつづく
  砂の、
  海原。



  夜は、
  どこまでも。
  月は、
  瞳のなか。
  きみが
  みつめた、
  その未来。
  とける、
  ほどける、
  どこに届ける……



  藍にしずむ、
  あの仙人掌も。
  愛にしずむ、
  あの旅人も。
  ふたたびの
  輪にめぐる
  だろう、
  だろう、
  だろう。



  砂には
  おなじ。
  すべては
  おなじ。
  男は
  おなじ。
  女も
  おなじ。
  生きとし
  生きれば
  みなおなじ。



  一点、
  ただ、一点。



  一点、
  ただ、一点。



  (固有名詞が
   蟻地獄に呑まれ
   無数の墓標が
   立つ、立つ。
   場違いな夢は
   場違いなまま
   ただただ、
   ただよう。)



  (言い残した言葉が
   歯茎にはさまって、
   ざらつく。
   それはだれかの
   だれかの死んだ証、
   鉄の味がする。
   そう、
   簡単なことさ。)




  (きみが
   みつめた
   永遠、
   それはどこかで
   なにかと
   つながる
   だろう、
   だろう、
   だろう、
   だろう、
   だろう、
   だろう、だろう、だろう。)



  星は
  堕ちず、
  ひとを待つ。



  そして
  きみは
  砂の海をゆく。
  そして
  きみは
  胸に愛を抱く。
  だれかへの
  だれかへの
  だれかへの、
  永遠。



  ヨルハ、ドコマデモ。
  ツキハ、ヒトミノナカ。
  キミガ、ミツメタ、ソノミライ。
  トケル、ホドケル、ドコニトドケル?
  ヒトツ、フタツ、ミッツ、ヨッツ、イツツ、
  ムッツ、ナナツ、ヤッツ、ココノツ、
  ツヅクツヅク、ウミ。
  スナノユメ。



  きみの涙、
  だれかへの永遠。







自由詩 スナノユメ Copyright 草野春心 2009-11-15 14:00:15
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