あめだま
小原あき

あいという
あめだまをなめました
なんだかくすぐったくて
とけていくのは
じぶんのほうじゃないかって
ふあんになったので
はきだしました

すこし
こわかった



いぬは
どんよくに
あいをほしがります
くだいて
みずにとかしてやります
そして
まいにちのさんぽで
うんちといっしょにだします
わたしはそれを
もちかえります
ええ、
かいぬしのぎむですから



ふくろのなかに
あいが
まだまだたくさんのこっていました
だけど、これを
つくったひとは
すこし
さみしかったのでしょうか
みずたまりのにおいが
すこしだけ
します



のどがいたい
というおっとに
あいのあめだまを
ひとつぶあげました
みるみるかいふくしました
それをわたしは
じぶんのてがらにしました
げんきになったおっとは
いまだに
みずたまりのにおいがする
あめだまをほしがります



わたしものどがいたくなりました
あいのあめしかないので
なめてみたけれど
やっぱりあいしょうがわるい
はきだしました
だから
わたしのかぜは
なおりません



いつまでもせきこむわたしに
いぬはさんぽをねだります
うんちをださないといけないのです
そして、それを
やはり
もってかえらなくてはならないのです



やっぱりあめを
なめないとだめだ

あめだまをさがしたけれど
どこにもありませんでした
しようがないから
ずっと
よこになってました



いぬとのさんぽから
かえってきたおっとに
あめがないの、
といったら
ぽけっとから
ふたつぶ
だしてきました



ごめん、ほとんどなめちゃった
わらうおっとのてのなかの
ふたつぶのあめだま
つつみがみをひらいてみると
ひなたのにおいがしました
おそるおそるなめてみると
とっても
あまかったのです



わたしのかぜが
みるみるいなくなったことは
いうまでもありません







自由詩 あめだま Copyright 小原あき 2009-11-12 14:06:18
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