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テシノ

手紙には宛名を書かず
飲み込んで
飲み込んで
喉の奥でうずめかす
吐き出さず
吐き出さず
私の口に雨が降る

終いの時と知りながら
それでも春になればと信じず
祈る事は諦めであると
人生は幼いまま続くものと
世界は美しいまま運びゆけると
信じぬ事で終いは遠ざかると
私は信じた
私は信じた

私が信じたものをお前は
希望と見たか
欺瞞と見たか
どうか答えてくれないか
一言だけで構わないから

何色のペンを使っても
綴る言葉は全て青
お前の声を忘れるたびに
口の中で降る雨がやまない
それでも

春になれば

今でも


自由詩 閉じる日 Copyright テシノ 2009-11-01 21:16:41
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