黒と菫色
都志雄

一瞬の中に永遠があった
女の顔に夕闇があった

わたし
たちは
あえぎ、つぐむ。

怒りの中に悲しみ
嘘の中に真

光の中に闇があった
灰の中に黄金があった
王の中に奴隷がいた
ソースの中に毒を盛った
スパイの中に恋はあるか



 *

あなたの怯え、叫ぶ瞳
呪い、許された時間
脅し、嘲ることば
すべての偽り

軋む心臓
に塗りました

舌は知りました

あなたの中にわたしが
わたしたちが
いました

私は見ました

あなたの唇は
語り
あなた自身の耳目に
わたしの舌に
語り
ました

あらゆるyes/noは錆び

せつない、

いとしい

抱いて


噴煙は震えていた



 *

天使の中に闇があった
地獄の中に凪があった
夢の中に現があった

オペラグラスの中に銃口があった

そこに悪意はない
他の感情すら



 *

あなたは
崩れ

わたしの中に
わたしたちがいました


羊の中に毒蛇
歌劇場という火宅


わたしは立ちました





自由詩 黒と菫色 Copyright 都志雄 2009-10-29 01:59:31
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