at the book'n book shelf
あすくれかおす





意味もなく汚れた気分になった午後、
よる辺の水をすくう人、そのやわらかい中身をのぞいた人、
深く閉ざしてみるといい、確かではない文字のかたちは、
かたくておもい持ち物すべては、知らない世界の失くしものだとおもってもいい。



心に留めておきたいことがありますか。
その心は、どこにありますか。
夜と朝とでは、どちらの果てなら見えそうですか。
ゆるゆると泣いて。這いつくばりながら口笛を吹いて。
結び目はもう、小さくなってしまった。
平積みにするほど、話したいことがありました。
その心は、いまもありますか。



色彩をじゅんばんに、空気に渡していく。
アルストロメリア。
マスタード。
ミュゼット。
いつか指先は見つけます。選ぶべきものを。
最後の、記憶の、断片を。
ルービック・キューブの群れが、砂地の寝床に帰ります。
平面は完成。立面も完成。
不揃いでは、何もかも暮れないのです。
そのことを知らないとでも。どうとでも。
なんとでもできるのでしょう。
可能性は、未完成なので。





続きがあるのです。
子どもたちはまだ、知らないのでしょう。
いつでも、誰しもが地続きではないのでしょう、
おわりの歯磨きをする列車、ぼくらを軽くする滑車、
いつか、だれかと、求めあったぞと、新聞がモノローグを話す、
みんな、もう滅びたのでしょうか?
いつだって騒ぎ合っていました。
いつだって華やかにみえました。
ねえねえと、みんながそう呼ぶから、
いつでも、いつまででも/返事して、返事して、返事して、返事をかえしていました。
誰しもが地続きではなかったのでしょう。
彼方の手前でじっとしている。
世界をなんにも知りません。
時間の詠み人も知りません。
わたしは。
ここはどこにありますか。
わたしは。
はあどこあになりすますか。
もう断片になっている。
よる辺の水をすくう人、そのやわらかさを知った人、
澄んだ水のなかにある澄んだ泡、
深く閉じたまま息を吸う人。
意味もなく光る子ども。
知らない世界という名の名無し。
まだ知らない。
まだ知らないことには、続きがある。













自由詩 at the book'n book shelf Copyright あすくれかおす 2009-10-23 22:10:16
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