星巡夢梯子
リーフレイン

やったら星のきれいな夜でさ、満天の星が落っこちてきそうだったんだよね。だいたい、5つよか多い星が見えるなんてこと、そもそも稀じゃありませんか。なのに満点、いやさ満天 南天じゃあないよ満天 天の川なんざちょろいってえぐらいに夜空一面にべたべた星がひかってたんですわ。
口ぽかーんと上むいてたら、するするってなんか細いもんがおれんちの猫の額ぐらいしきゃあない、それでも手入れしてありゃあ見れるんだが かかあもおれも不精っもんだもんだから伸び放題の雑草と割れた植木鉢がほかってあるちっさい庭めがけておりてくる。
いや、長い文だねこりゃあ
すわ、蜘蛛の糸かとおもいきゃあそれがそれ 現代人の体力を考慮してだかなんか、きいらきいらと光る縄梯子! なんだねこれが。おらぁ急いで、小3の息子と ちょいと考えたんだけどやっぱしここは一緒だろと連れ合い起こしてさ
「おい、登るぞ」
むすこが足滑らせてもいいよに先にむすこ登らせて、おれが落っこちてもいいよにかかあは後ろにまわして、えっちらおっちら登り始めたわけだよ。
二度とかえれんかもしれん なんてこてゃちらっとかすめたけどが、
「ここで登らんでどうする」てなもんだ。

「おとおちゃん、なんか下が揺れなくなったよ」
「あ 山田さんちのおばあさんがのぼっとる」
下にいるかかあが言いよる。
「そっか、まあ切れたときゃあそんときだ、ほかっとこ」
「せやね」
てな名作「蜘蛛の糸」を学習したような会話がかわされつつ、、、
せっせ せっせと・・・ 雲の上
「とおちゃん、この雲、歩けそうだよ」
「天国ってここかね」
「神様がおられるんかいな」
「うちら日本人やし、お釈迦様とちゃう?」
「そんなら極楽?」
「おまえらそんなに信心深かったか?」
「せやかて おとうちゃんかて うちの仏壇にチーンぐらいはするけどが、アーメンなんて唱えたこともないやんか」
「比較的仏教徒?」
「なにえらそうな単語つかってんの」
「あ、あっこ 誰か倒れてるよ」
「白い服」
「しょうがねえ、ちょいと途中下車して見に行くわ」
「おい、あんた、大丈夫か?」 て、いつも尻ポケットにいれっぱなしな酒瓶
  「あ、おとぉちゃん またそんなもんもっとって」
  「モットッテよかったじゃあねえか」
からぐいっと一口。 いやおれのくちじゃなくて倒れてるやつにね。
「げぼぼっ」
「ああ、ありがとうございます」
「あんた、大丈夫かい?」
「はい、一応不老不死ですので・・・ 少々ダメージが重なりまして。。。」
「あれかい、あんた神様ってやつかい?」
「そうみたいですね」なんかちらちら光がやつのまわりについて、ありゃあオーラってやつかい?それがなんか 切れかけの蛍光管みたいに点滅してんのよね ついたり消えたり、、細ぼそと、、、
「大変そうだけど、なんかおれにできることがあるかい?」
「とりあえずその梯子登っててください」
「お墨付きってえわきえだ。そりゃあうれしい」
「御説明はできないのでもうしわけないですが」
「じゃあ行ってくるよ」
で むすことかかあと また縄梯子。
「ねえ おとぉちゃん なんであたしが一番後ろなん?」
「そりゃあ決まってるじゃあねえか、俺が落ちた時にお前で止まるからよ」
「あたしが落ちたらどうすんのよ」
「だってお前、おまえの体重は俺じゃあ無理だ」
だまっちまったかかあを後ろにせっせ せっせと あたりはすっかり宇宙空間。
「空気あるね」
「おぉ」
「重力もあるね」
「おぉ」
「まあなんだ、事実は小説より奇なりってやつだな」
「・・・」

月にやってまいりました。
「ウサギいるかね」
「おまえありゃあおとぎ話だ、かぐや姫だろいるんなら」
「とおちゃんそれもおとぎ話だよ」
「アメリカ国旗がたってるんとちゃう?」
「そういうやこないだインパクト爆弾落してなかったっけ?」
「クレーターん中だろ」
「ウサギいるじゃあねえか」
「あれまぁ」
宴会をしていたウサギが手招き いや前足まねき。
「いっぱいどうぞ 餅もどうぞ」これがまた旨い。
「かあちゃん、なんぞお礼もってないか?」
「チロルチョコでいい?」
「あ、またそんな太る菓子を隠し持ってやがって」
「何こまかいこといっとんの、持っててよかったやん」
白い兎がチョコ食って 
「うまいねえ」 ほんのり黒ウサギ。

でまた せっせ せっせと縄梯子
「とおちゃん、どこまで登るのかな」
「まあ、ありったけ登ろうじゃないか」
「ほれ、あそこに見えるのはオリオン座」
「宇宙まであがるとなんか星座の感じちがうね」
「そんなに変わるほど動いちゃいねえだろ」
「土星のわっか肉眼で見れたのはじめてだ」
「そういや、月にウサギさんがおったんなら金星にはさぞかし美女が(ry」
「あんた、あたしの眼を盗んでいったい何をしようと」
「いやまだなにもしてねえよ」 金星だけに御禁制
おあとがよろしいようでーーー


自由詩 星巡夢梯子 Copyright リーフレイン 2009-10-20 15:06:59
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