その二分間のための詩
瑠王

1

2

3

4

5


僕が赤ん坊だったように
君がまだ若葉であるように
真っ白なキャンバスでさえ
絶えず変化をしている

広大な土地も
同じような空も
足を持つ全てと
眠りを知る全てと
この二分間の先を目指して
分子をふるわせている

割れてしまったグラスのように
グラスを逃れた水のように
僕が蕾であるように
君が老婆だったように
この二分間の先を目指して
常に扉は開かれて
一方、常に扉は閉じられていく

退屈なものかもしれないが
この文章さえ生きている
言葉の動脈をもって
全てと共存している
ときどき読み返される手紙のように
読み終えてみればまったく世界は新しい
君の頬の赤みがひいてゆくように
また誰かに愛を求めるように
そして退屈さえやはり生きている

この二分間が戻ることはなく
同じ空気が一致することはもう二度とないだろう
常に今は生まれ
常に今は死んでいく

さようなら
その二分間のために
今尚、過ぎていく世界よ
空気の流れよ

さようなら
今尚、閉じてゆく瞼達
緑の時代よ

僕は何を怖れていたのだろう



117

118

119

120

121

122








自由詩 その二分間のための詩 Copyright 瑠王 2009-10-17 19:56:30
notebook Home 戻る