精算書
……とある蛙

影響

少しだけの賞賛が
少しだけの満足が
少しだけの尊敬が
少しだけの裕福が

それが人生の全てだ

と気づくのに人生の大半を費やしてしまった。

少しばかりの賞賛と
少しばかりの満足と
少しばかりの尊敬と
少しばかりの貯えが

それが自分の全てだったと

大半の人生を費やしてやっと気づいた。

しかし、
それと引き換えに

たくさんの嘲りと
たくさんの不満と
たくさんの侮蔑と
たくさんの浪費を

自分の人生の大半をかけて
受けてきた、やってきた。

社会からの孤独
家族からの尊敬
そんな事も気にしながら過ごしている。
今は自分が所属する地域すら分からない。

地縁はなく
両親は地上になく
兄弟仲は疎遠になり、
毎日が淡々と過ぎ去ってゆく

誰に影響されるでもなく誰に影響するでもなく
深く暗い想念と裏付けのない自尊心が生きる証

もう一つの生きる証
というささやかな願望の
将来給付も含め
やっと精算が結了する。


自由詩 精算書 Copyright ……とある蛙 2009-10-17 14:06:45縦
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