僕らはたまに
あおば

               091017


コロッケを買う
帰り道の悦楽
見事なほどの
木の根の太さ
あ〜ぁ〜あ〜ぁ〜
赤い車のホースを伸ばす
裏の川から水を汲む
火事だ!
赤猫だ!
ニゲロニゲロと
口々に
コロッケを咥えた
泥棒猫を追いかける
放水する消防車の
エンジンが唸る
紅蓮の炎が焼き尽くす
重要文化財だって
一夜で
ハイになる
悪夢だ
コロッケを咥えたまま
朝になる
街中の
コロッケを温めて
御飯を済ます
行って参りますと
お辞儀をしてから
ランドセルを背負い
靴を履いて
学校に出かける
学校の裏の川からは
水が這い登ってきていたが
今朝には用済みとなり
濡れたままになっていて
立ち入り禁止のロープが張られ
回り道して
教室に入る
自転車道を通って
先生がやってこられた
コロッケを咥えたままの
私たちは
お腹が空かないままに
給食を平らげなくてはなりません
脱脂粉乳は
コロッケとは
仲が悪いのか
一言も口をきかないので
私たちは
コロッケを無理矢理呑み込んで
脱脂粉乳を口にする
初めて笑ったような顔をして
仕返しに
牛乳瓶を粉々に砕いてから
帰宅する
子供たちの群れを
窓から眺めて
コロッケが不足すると
牛乳瓶が
粉々に
なると
細かい字で
記録する



「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは、ヒヤマキエさん


自由詩 僕らはたまに Copyright あおば 2009-10-17 02:59:33
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