都志雄

最果て岬を前にして
悲劇のヒーロー気取りが一人。

この地の果てまで来たならば
《ムコウガワ》まで
行けるとでも思ったか…


寒立馬かんだちめたちは
お構いなし
三々五々、草を食み
追いかけ合ったり
寝そべったり

世の中はこんなにややこしいのに、
おまえたちなんと
 
 逞しく、

 愛らしく、

 気高く、

 美しい姿!

 ・・・・・・!



                     あーあ
                    いつでもさっさと死ねるなら…





やがて君はすべて忘れる
 やがてすべては君を忘れる

   ―そうでしょう、マルクス・アウレーリウス?





宇宙の一滴

声は生きろと

あらん限りに生きろよと

雲海はるかなり





「驚かせてよ
 匍匐前進!
 
 驚かせてよ
 ダメ人間!
 
 驚かせてよ
 冷めたスープ!



「今やっと
 この身一つ
 他に何要ろう?
 この身一つで
 歩いていく!
 こうもり傘なんて投げ捨てて



                 ―駿馬たちのテレパシー!?

                  いや、そういうことにしておこう。 






雲海はるかなり

北国の夏の終わり

雲海はるかなり

やさしき手紙


雲海はるかなり





                      (下北半島尻屋崎にて)


自由詩Copyright 都志雄 2009-10-14 17:33:50縦
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